危険な誘惑にくちづけを
「ん~~」

 時間が経つに連れて。

 ふわふわした気分から、気持ちが悪くなって来た。

 大勢の出す熱気と。

 カラオケのがんがん鳴る音が頭に響いて。

 ……吐き気がする。

「……ごめ……
 やっぱ、わたし、帰るね?
 ……水島は?」

 先に帰るコトを、伝えようと、彼女の姿を探すと。

 水島は、ちょうど、佐倉君のオトモダチと、デュエットの真っ最中だった。

 とっても、のりのりで、声が、かけづらい。

「桃花ちゃんは、忙しそうだよ?
 やっぱり、オイラが送ってあげる。
 なんだか、春陽ちゃん。
 ふらふらしてて、危ないし」

 本当は、もっと、みんなと遊んでいたかったろうに。

 にこっ、と笑う佐倉君の笑顔が嬉しかった。

「……じゃ……
 迷惑をかけちゃうけど……いいかな?
 なんか……一人で帰るの無理みたい。
 わたしの家は……」

 ここよ? と教えようとしたら、佐倉君は、微笑んだ。

「……知ってる。
 昨日、遊びに行ったばかりだから、ね?」






 
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