危険な誘惑にくちづけを
 紫音は、一度だって。

 抱いていい?

 なんて。

 わたしに聞かなかった。

 ただ、もう。

 抑えきれないココロのままに。

 わたしのカラダを抱きしめた。



 激しく 激しく


 ……優しく。


 手で……指で。

 唇で……舌で。


 泣いちゃうほど、イイトコロを探ってゆく。


 苦しいほどの快感に、思わず止めて、とつぶやいても。

 ちょっとや、そっとでは、止まらない。


 そんな、自信たっぷりに、ほとんど強引みたいに抱くのに。

 わたし、知ってる。

 紫音は、慣れているコトをして。

 自分の欲望のままに、動いているだけのはずなのに。

 本当は、わたしの反応を見ながら、大事に抱いてくれているってコト。

 本当にイヤなコトは、絶対にしない、器用で優しい指先は。

 あっという間に、わたしの熱をかき立てる。

 愛しい、愛しい、わたしの紫音。


 紫音……


「しお……ん」


 切ないほどに続く快感に。


 わたしは、ため息と一緒にささやいた。


「早く……来て……?
 わたし……あなたが
 欲しい……の」



 
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