怖がり少女と吸血鬼
「まぁいい、とりあえず出てけ。てか帰れ。それで俺はしばらく帰らないと親父に言っとけ」

「えぇーシュウくん冷たいー」


唇を尖らせて、カップルの喧嘩のような調子でシードさんは言った。


「じゃあさ、ちょっと味見させてよ。ね、いいでしょ?柚子ちゃん」

「え」


シードさんはぐるんとこちらに向きを変え、笑顔のままあたしに顔を近づけた。


あたしが慌てて止めようとした瞬間





―――あ れ ?




いきなり黒沢くんに腕をグイッと引っ張られ、

あたしは黒沢くんの腕の中にすっぽりと収まった。





ひぇえぇええ―――――!!!


あたしは別の意味で、心の中で悲鳴をあげる。
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