怖がり少女と吸血鬼
「シュウ様、ここは病院。静かにしてください!」
突然、黒沢くんの背後から喋るコウモリが飛び出した。
いや、コウモリにしては現実感が無さすぎる。
しかしコウモリに見えなくもない。でもこんなコウモリいないし…
漫画に出てくる少し可愛さをプラスしたコウモリみたいな感じの、コウモリ。
あぁもう、今コウモリって何回言った?
自分が危機に直面している時に限って、どうでもいいことに頭が働く。
現実逃避するかのように。
「あぁ"!?俺のせいかよ!この女が勝手に騒いだからな」
しかしそれも、黒沢くんの声でまたしても現実世界に連れ戻されることになった。
ちょっと待ってよ…
これ…もしかして夢?
うん、そうだよ。夢だ。
きっと夢だよ。
ほ~ら、ほっぺをつねっても痛くない…はず…
恐る恐るほっぺをつねってみたけど、
あたしの希望も虚しく砕け散り、やっぱり痛かった。
てことは…