天使になれなかった。
「なんだよー。急に呼び出して」
ふてくされた声をだしながらも顔はいたずらっ子のような笑みを浮かべている。
凛羽の何気ない仕草でひどく安心している自分がいることに気づいた。
「なによ。授業抜けられて嬉しいんでしょ?」
「ハハッばれたー」
「ばればれよ」
そして凛羽が笑う。
ああ、世界が瞬時に眩しくなる。
胸をかき乱すようなこの鼓動を、何て呼べばいいのだろう?
恋、なんて煩わしすぎる。
そんな情熱的なものじゃない。
もっと穏やかで平穏なものなのだ。
泣きたくなるような。