天使になれなかった。
act.3

次の日も、あたしは誰とも喋らないまま授業は終わった。

放課後のチャイムが響く。


「ばいばーい!」

「またね!」


そんな声があちこちから混じりあう。

あたしは靴箱からローファーを取り出してつま先で二三回トントンと床を叩いて履いた。




「手嶋さん!」



振り向くと、そこにはまた蓮見がにっこり微笑みながらたっていた。

完璧な笑顔。


蓮見は笑うと目尻にシワができる。

それからちらっと見える八重歯。


それが愛嬌があって可愛いと女子が騒いでいたのを耳にしたことがあった。

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