天使になれなかった。

黒板に書かれた英文を淡々と写していく。
教室には手紙交換や小声での私語が今なお続いている。

保田が何度か注意をするが、そんなの無駄。
だってみんなアンタのことを教師なんて思ってない。
アンタはただの英語スピーカーだ。

そんなことを思いながら保田が英文を読むのをぼんやり聴いていた。




「はい静かに!授業に集中して!じゃあ次の文を……手嶋藍さん読んで」



「……はい」

あたしはゆっくり席をたつ。

「Mistake are at the basis of human thought…………」


そこから長々と続く英文を涼しい顔をして読み続けた。

少し静かになる教室。
クラス中があたしをみているのがわかった。



「はい。発音も完璧だし、つまらないし、パーフェクトね」



その言葉も半分聞かず、顔色一つ変えないで席に座る。

また、ざわつき始める生徒の声と保田の声が教室に響きだした。
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