天使になれなかった。


『ほら、舐めてよ。舐めろっつってんだろ?!?』

『もっと!!!もっと激しく!!!!』


気づかぬうちに握りしめた拳。

震えている。


『ぁ…はぁ…あ…ン…』
女の喘ぎ声。

耳にざらついた感触が這いずりまわる。


『あぁ…んッ…ハァ…』

目眩がする。
頭痛がする。
頭がわれそう。
喉があつい。


確かなものは、握りしめた両手に爪がくいこんだ痛み。


体の奥底から毒素が湧き出てきて、体中をものすごい勢いで駆け巡る。



激しい耳鳴りが、する。

胃が喉から飛び出してきそうだ。



体の震えがとまらない。

痛い。
痛い。
痛い。


どこが痛いのかはわからない。


焼けるような叩きつけられるような殴られたような切り刻まれたような痛さが襲う。


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