天使になれなかった。
ふらついた足取り。
どこへ向かっているのかはわからない。
雨はまだ止んでおらず乾いた制服がまた濡れていく。
冷たい雨粒が全身を打ちつける。
自分の裸足の足下を焦点がさだまらない瞳でみつめながら傘を持ったすれ違う人たちの間をすり抜ける。
不信な目と好奇心の目があたしを刺す。
「ねぇ、傘忘れたの?俺らと雨宿りしようよ!近くにいいとこあるから!大丈夫!すっげー近くだよ!」
同い年くらいの二人組の男に肩を捕まれた。
目眩がする。
男の薄っぺらい笑顔が歪む。
男は何か話続けているが、耳鳴りとノイズでききとれない。
周りの建物に飲み込まれるような錯覚に酔う。
しだいに立っていることができなくなりその場にしゃがみこんでしまった。