不器用なLOVER
体温が離れるのを寂しく思いつつ

透弥さんの手を待つけど、

「透弥さん?」

私を見つめて動き出さない。

どっか変だったかな?

一生懸命選んだ服も透弥さんの好みじゃなかった?

少しずつ気持ちが萎むのに併せてうつ向いていく。

確に初めて見た透弥さんの私服はシンプルにまとめられてるけど素材が良いのか仕立てのせいか着る人のセンスか品が漂う。

もっと上品な服装にすれば良かったのかな?

居ても立ってもいられなくて、

「着替えてくる…」

家に戻ろうとするけど、

「どうして?」

透弥さんは眉を潜める。

「だって透弥さんが…」

何にも言ってくれないから…。

そんなこと言えない。

「僕が、何?」

見れば片眉を上げ怪訝な表情で、

「…感想聞きたいの?本音と建前どっちの?」

本音と建前?

透弥さんが目を細めて、微苦笑を浮かべた。

「可愛いと思うよ。誰にも見せたくないぐらい」

鼓動が一つ大きく波打つ。

だけど、着ていた上着を脱ぎ私の肩に掛け、手を取り袖に通す。

無言で一番上までボタンをしっかり止める。

気に入らないならはっきり言って欲しかった。

目頭が熱くなってくる。

「今の晶を見て良いのは、僕だけだから…」

どっちが本音?

「余裕ないよね…今のはどっちも本音だから」

< 121 / 315 >

この作品をシェア

pagetop