不器用なLOVER
「いっ…いつからいつまで?」

ちょっとでも会えるなら…。

「終業式後から始業式前まで…」

願いは打ち砕かれる。

もう夏休みなんて関係ないや。

補習でもなんでもいいや。

急にやる気のなくなった私は机に突っ伏す。

溜め息と共に降ったのは、

「晶には関係ないでしょ?
補習でもいいなんてこと、考えてないよね?」

私を突き落とす言葉。

関係ない…。

そうだよね私が聞かなきゃ言ってなかったでしょ?


私って透弥さんにとってなんなのかな?

彼女のはずなのに…。

透弥さんが優しく髪を撫でる、

「仕方ないでしょ…行くところは観光地じゃないお風呂も手洗いも食事さえままならないようなとこだからテントに寝袋だよ?」

それは…ヤだけど。
透弥さんに会えないのもヤなの

言えない我が儘を飲み込むけど、

顔も上られずに目を強く結ぶ。

顔を隠していた髪を掻き上げられ

「晶…」

ダメ泣きそう。

透弥さんから顔を背けた。

こんな拗ねた態度可愛くないし、子供みたいじゃない。

そう思っても中々素直になれない

背中で短い溜め息を聞いた。

「8月のお盆には…1度帰るから。その時に会える?」

透弥さんの思い掛けないお誘いに

勢いよく飛び上がって頷いた。

「もちろんだよ」

一瞬目を丸くして、

「…単純」

そらしながら呟く。

あれ?

もしかして…

「照れてる、の?」

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