不器用なLOVER
「あの…三人は張り出してあるんだから職員室前に見に行った方がいいんじゃないの?」

明らかに沈んだ私に、

「張り出しは月曜の朝だよ?」

登喜子が気にすることもなく答え

「毎回決まってるのよ?1年生から3年生まで一ヶ所に張り出すの」

衣里が付言した。

「せっかくだから今からカラオケ行っとく?」

どうせっかくなのか真姫が言い出した。

「えっと私は…

私の返事に被せるように、

「おぉ、いいじゃん賛成」

後ろから肩を抱きながら答えた。

「朋弥先輩」

登喜子の感嘆の声にも、

「ぅん?」

動じず答える。

さっきまで騒がしかった教室内も突然現れた人に静まり注目している。

「ちょっと朋弥さん離して…」

その手から逃れようともがくが、

「ぅん、もう少し…」

何故か写メって誰かに送信した。

「俺一人でも全然構わねぇけど、主役は揃ってた方が面白ぇし?」

それを聞いて益々暴れるのに、

「すぐ来るって」

軽く受け流す。

「ヤだ、離して」

「いい子にしてろって…可愛くねぇぞ」

朋弥さんにそんな風に思われても困るんだから。

髪にキスまでしてくれちゃって…

ダンッ

教室のドアが勢いよく開き、

「何、してるの?」

透弥さんが近付いてくる。

< 128 / 315 >

この作品をシェア

pagetop