不器用なLOVER
ラスト100m…
朋弥さんと透弥さんの一騎討ち。

朋弥さんがラストスパートを掛けた。

「ゴールテープ用意するぞ」

反対端を持ってトラック外側へ走り、引っ張られるように内側でスタンバイする。

依然リードを許した透弥さんと朋弥さんの差が徐々に広がって行く。

朋弥さんも応援してる。
けど…本音はやっぱり透弥さんに切って欲しい。

二人共頑張ってって素直に応援が出来ない。

朋弥さんに心の中で謝りながら、透弥さんの姿を目で追った。

周りの声援に混じって私も叫びたかった。

広がって行ってると思われた差が一定間に保たれている。

透弥さんは朋弥さんの背中を確に捉えていた。

けれど…会場内に居る全ての人は朋弥さんのトップを確信し始めた。

ビリからのスタートだったし、
その時は既にトップとの差が100m、
7人を抜いての2位…。

それだけで充分評価に値する。

多くを望み過ぎだ。

私が残念がっては絶対ダメだ。

透弥さんがゴールしたら、
笑顔で迎えよう。

それから賛辞の言葉を述べよう。

だけどこれが透弥さんにとっての敗北となるなら無意味になる。

個人戦ではなくチームプレーなのだとしても…。

どちらだろうか?

考えあぐねる。

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