不器用なLOVER
「いえ、あの…」

それにしても綺麗だな。

顔の一部の様にフィットした眼鏡に、
着崩されてない制服からは知的さが滲む出ている。

きっとモテるんだろう…。
見惚れてしまう。

「…着いた」

その言葉に、
見渡すと見覚えのある景色が…。
2年生の教室の階まで来ていた。

「あり…」

お礼をしようとしたときには、
その人は既に歩き出していた。

自分の席に着いたその時
計ったようにチャイムが鳴った。

間に合ったのかな?

ぼんやりとその人を思っていた。

名前、聞けなかった。

また会えるかな?

授業を進める先生の声が、子守唄の様に自然な眠りに誘わせた。

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