三日月の雫
どことなく諦めた表情を柚羽は浮かべる。
そんな柚羽の表情が切なくて、苦しくて、僕は話題を変えた。
「今日はバイトだった?」
「うん。今日はちょっと忙しかった」
柚羽は話を元に戻そうとしない。
いつものように、ごく普通の、当たり障りのない世間話。
本当に今日で終わりなのかと疑いたくなってしまいたくなる平穏な雰囲気。
朝方になり、新聞配達のバイクの音が聞こえる。
柚羽も僕も、その音にハッとし、会話をピタリと止める。
いつもは、朝イチでかんなが来るからと、僕はその音を合図にして帰っていた。
でも最後の今日くらいは、かんなも許してくれるだろうと、僕は無視して話を続けた。
様子の違う僕を、柚羽は一瞬、困惑したような顔で見たけれど、すぐに笑顔を取り戻した。