三日月の雫
「楽しみにしてるよ。お疲れ」
僕は静かにそう言うと、店を後にした。
店を出て、僕は国道へと直行する。
まだ族にいた頃、何度も走り抜けた国道。
僕にとって、唯一、息抜きできる場所だった。
今でも時々、一人になりたい時や、考え事をしたい時は国道へと足を運んでいた。
これから先、僕はどうなるんだろう。
そんなことをふと思う。
このままずっと、かんなのそばにいるのだろうか。
それとも、何かのきっかけでかんなの気持ちが変わるのだろうか。
そして。
沢井さんとは、ただのバイト仲間として終わるのだろうか。
先の見えない未来。
みんなが幸せになる未来が、いつかやってくると信じたかった。