ラビリンスの回廊


「……は?
ニエってなんなんだよ……
身代わりって何さ……?」


玲奈のその言葉に、エマはスッと視線を外し、感情の見えない声で話を続けた。


「『大いなる流れ』は、歴史を紡ぐものです。
ルサロアを通じ、王に預言を与えます。
その預言に則って王は国を統治し、栄えさせます。
そして、そのためには……」


詰まった言葉を一気に吐き出すかのように、エマは言った。


「『贄』を、差し出さなければなりません。
しかし、シェル王国には現国王のハロック様とお世継ぎのハマン様しかおられません。
お妃であるリュカ様がとお申し出になられましたが、その時に新たなる預言が。
それがあなた様の運命(さだめ)の預言です」


エマは、ゆっくりと玲奈に向かって頭を下げた。


「どうか、シェル王国の未来をお守り下さい」


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