AEVE ENDING
細胞がひとつひとつ再構築されていく感覚は、いつも身近に在った。
―――研究時。
寝台に寝そべりながら、とくとくと胎内で鳴る修羅の細胞を瞼を閉じて感じ取る。
独りじゃないと語っているようなそれをただ子守唄のように耳に流して、ただただ、痛みに耐えて。
(…いつも、いつも)
雲雀は、私の傍にいたのか。
だからだ。
体の一部が欠落したような感覚は、だからだ。
(…でももう、)
堪えなきゃ。
だってもう、雲雀の傍にいたってなにも返せない。
なにも、できない。
『雲雀のこども、絶対、可愛いよ。だからいつか、抱かせて』
他人事を口にしていた昔の自分を殴ってしまいたい。
あいつがなにを背負ってるかなんて知らずに、ただ暢気に能天気に、軽口なんか、叩いて。
『子を引き継ぐことで、君はその運命から逃れられる』
木霊する夢の声は、なにより私を引き止めている。
心臓に一本一本、細い針が突き立てられていくような感覚に、呼吸が止まりそうになった。
(責められている…)
この役に立たない、醜い体を。
あぁ、もう、目覚めたくない。
(海の底に沈んだまま、眠りたい)