AEVE ENDING
(苦しみは、いつから濁りとなって胸に留まっていっただろう)
そんなものに足を止めることすらしなかった僕は、まるで滑稽な道化師だ。
『―――雲雀』
それなのに、いつからだろうか。
あの鮮烈なまでに強烈な声色を手にしたいと、身が焦がれてしまうほど、願うなど。
『雲雀、ほら、』
闇はいつから光となり、洪水はいつから凪となったか。
『―――太陽に恋をしたら、死んでしまうから』
震う声はただ痛みの中でさ迷っていたのに。
『―――鳥籠から、羽ばたくことを教えてあげる』
母であった者の言葉か、或いはただの紛い物か。
(鳥籠は確かに、生きていた)
『―――ひばり』
けれど、囚われたいのではない。
けれど捕らえたいわけでもない。
救いたいわけでも、ない。
『雲雀』
強い君に、なにより一番に見つめて欲しかっただけ。
(…だから僕は)
君を鳥籠から逃がすことにする。
『―――雲雀の姿を象った神様は、恋した太陽を鳥籠に閉じ込めてしまったの』
君を隠せば世界は暗闇に包まれるのだろうか。
君を失えば、世界は瓦解していくのだろうか。
「―――そうだね」
僕の世界はきっと、壊れていく。