AEVE ENDING






「…倫子さん、兄様、」


真鶸の泣き声と、アミと朝比奈の嗚咽だけが響く中、倫子は最期に、笑った。

その隣に立つ雲雀も、いつもよりずっと穏やかな顔で、そう、まるで、「神様」みたいに。



「みんなで幸せになろう」

次の世代もその次の世代も、みんな、みんな、至福と穏やかな世界を安心して歩いていけるように。


「いつか産まれるアミや真鶸の子供達に、一番きれいな世界を見せてあげる」

そうして空気に融けた倫子と雲雀の気配は、奥田がどれだけ探ろうと見つかることはなかったという。



(世界を救いに、行ってくるよ)







―――私はあんたの子供を産むことはできないけど、あんたと共に生きて、朽ちることはできるよ。


―――じゃあ、この「地球」の母になって、僕だけを愛して。


―――豪快だなあ。悪くないけど。


―――手始めに、憐れな僕らの子を救いに行こうか。


―――母ちゃん、乳出ないけど泣き止むかな。


―――…バカ言ってないで、ほら、行くよ。


―――うん、パーパ!


―――もう…、本当にばか。








「ねぇ、雲雀」


麗しきかな、麗しきかな。

世界は深く浅く映ろい漂いながら、緩く崩れることもなく。



「…見て」

美しきかな、美しきかな。

艶やかに咲いた天空の高みから、神よ、罪深き子らの贖罪を見守り、至福の祈りを抱け。



「橘、あまり前に出ると落ちるよ」

春よ、夏よ、秋よ、冬よ。

巡り廻り、世界を息吹かすために再び姿を顕さんことを祈る。

(穢れる罪に、埋もれてゆくまま)




「あんたいるし、平気。―――ほら、空と海が映りあって」




(…君は、麗しい)

ほら、すべてが愛しくなるよ。





「世界はいつだって、こんなにもキラキラしてるんだ」












[AEVE ENDING] end








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