AEVE ENDING



けれど、黙らないバカがもうひとり居た。

「当箱舟のアダムの質を大幅に下げてるのは貴女だという自覚くらい持たれたらどう?そうすれば、この食堂の空気も少しばかり良くなりますわ」

名前も知らない会長の声が食堂中に響いた。
なんて最悪な事態だ。注目浴びちゃってんだけど。

勘弁しろよ…。

思わず項垂れるが、会長の直接的な嘲笑にアミはもう我慢の限界を迎えていた。
眉間が裂けそうなほど皺を寄せて、唇をわなわなと震わせている。

「…アミ」

こりゃあ不味いなぁ。
彼女は物質変化のサイコキネシスを得意とするアダムで、本気でキレたらこんな古臭い食堂なんて簡単に倒壊させてしまう。
なにせ彼女ってば、優秀なもんだから。

「なんですか。貴女のような成績も突出していない半端な生徒には関係ありません。私は今、「イヴ」と話をしているんですの」

よくもまぁ、そんな言葉をぽんぽん考えつくもんだ。

「…アミは出来損ないなんかじゃないよ」

会長に振りかざされたアミの手をやんわり制す。
アミは悔しそうに私を見て、怒りを絞り出すように口を開いた。

「橘、離してよ。この女…公開処刑で素っ裸に剥いてやる」
「いや、どんなプレイ?女のヌードなんて嬉しくないし」

男のヌードなら悦ぶってわけじゃないから。勘違いしないように、そこ。


「下品なことを…!」

あ、ちょっと。そっちもそっちで熱くならないで欲しい。これじゃあ、板挟みだ。

「西部代表の私に向かって一介のアダム風情が…!」

キンと高いヒステリックな声が耳に障る。

―――煩いなあ。



「ピーチクパーチク姦しいなあ。ちょっと静かにしなよ、キンキンチキンが」

言いながら、その短いスカートに素早く手を伸ばした。
私、サイコキネシスではドベだけど、手癖の悪さなら西部一って言われてる。非常にうれしくねーけどな。

「橘?」

アミの声をよそに、掴んだスカートの端を一気に引き摺り落とした。
ぶつり、一瞬の抵抗のすぐあとに。


パサッ…。

ファスナーが外れた紺色のスカートが、重力に従いふわりと床に落ちた。
そして露わになったワインレッドのレースショーツにガーターベルト。
白い肌が眩しい。

カイチョー、パンツ丸見えです。




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