AEVE ENDING







「…っテメェェ!毒と棘に飽きたらなんだ今の!罪だよ罪!理不尽すぎて地獄行きだよ!てかシネ!」

怒り沸点に達したならば手も出る足も出る。
怒る倫子を完全無視で部屋に入る雲雀の背中目掛けて。

「ウラァアアアアアッ!」

橘流奥秘技瞬殺殺法炸裂…



「うるさい」
「───ッ…っぎゃあぁぁぁ!」

一秒後には雲雀の憎憎たらしい背中に青痣を作るはずだった回し蹴りは見事に宙を蹴り、代わりといっちゃ硬すぎるドアノブにクリティカルヒットした。

勿論、ドアを開けて閉めたのは雲雀である。
スニーカー越し。生地が隔てた爪先とドアノブは痛い。

完全に燃え尽きた倫子を廊下へと残し、雲雀が消えた部屋からは物音ひとつしない。

(駄目だ。頭ン中が透かれてるうちは我慢しようがなにしようが、無駄だ…!)

安直過ぎた自分の考えに、今更ながら完敗。

(クソスズメ、くたばれ)






「…ほんと、煩い」

閉めたドア越し、そんな倫子の唸り声を耳に、雲雀はウンザリと呟いた。
閉じたドアへと背中を預け、小さく嘆息する。

(人とこんなに長い時間、話をしたの、初めてかも…)

倫子にしてみれば「話す」などという平和的且つ非暴力なものではないのだろうが。

喰い付いてくるその姿は大変興味深いが、少々喰い付きが良すぎる。

うざったい。

(…なんでこんなに、面倒なの)

ふぅ、と再び息を吐き、埃と疲れを落とそうとバスルームへ向かった。





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