AEVE ENDING
(…本物の馬鹿だ)
そのリアルな映像は間違いなく倫子が己の眼球を通して見たもので。
「それ」を抱き締めた時の、倫子の想いも、まるで澱となって雲雀に雪崩れこんでくる。
「…泣くなら自分のベッドで泣きなよ。それか、保健医に泣きつくかね」
「……別に、奥田は関係ないじゃん」
(こどもみたいに泣きついた癖に)」
「なに、その顔」
「…別に」
不機嫌な倫子をかわす。
ちらちらと鳴く火種は酷く寂しく、気絶している双子は惨状を背景にまるで死人のように映った。
「行くよ」
口を無くしたかのように静かになった倫子は、テレポートするその寸前までエリアの惨劇を見つめている。
───それはまるで、犯した罪を自らに刻みつけるように。
全て背負い込もうとするその所業は傲慢だと、罵っても構わなかった。
(けれどきっと、橘はそれを厭わない)
「…ごめん」
景色が走り消える間際、倫子はそう囁いた。
それは死んだこどもに対してか、傷んだエリアの住民全てに対してか、雲雀は知らないふりをした。