AEVE ENDING
(街にうようよしてる人間は、鼻持ちならないし)
田舎生まれの僻みじゃないが、やはり整備された街に住むからには地位や財力が必要なわけで、その貧富の差云々が、まるで私たちを見下しているように思えるのだ。
それは決して、気のせいじゃない、筈。
(―――卑屈だね)
「うおっ」
考え込んでいる中、いきなり介入してきたテレパスに思わず声を上げてしまった。
周囲に立つ生徒達の迷惑そうな視線が瞬時に集まり、大変気まずい。
誤魔化すように肩を竦めて、右側に並ぶ東部の先頭を見た。
未だホールに残る、強烈な「修羅」の後ろ姿。
緊張を感じさせないしんなりと伸びた背筋は、とても好感が持てるが。
(ヤロー、嗤ってやがる)
自然と口元がひきつる。
雲雀から届く不愉快な思考に毒づいた。
(スンマセン話しかけないで下さい。迷惑なんで)
(君が勝手に流してくるんだよ。迷惑だからやめてくれない?)
(好きで流してるわけじゃアリマセン。不可抗力なんです)
意識しなくとも、眉間の皺が深くなる。
このまま呪えるなら呪ってしまいたい。
(ストッパーを掛ける努力くらいしなよ。……こちらとしてはかなり不愉快なんだ)
(そっくりそのままあんたに返すっつの。プライバシー侵害されてんのは寧ろ私なんだよ、同情しろ!)
(…意味がわからない)
呆れたような溜め息が、律儀にもテレパスに乗って送られてくる。
芸が細かいというよりもはや嫌がらせだ。
(生憎、野生育ちなもんで)
眉間に加えて、頬の筋肉すら怒りで硬直している。
(いい加減、黙っててくれない)
(君が黙っていれば、こちらも話し掛けたりなんかしないんだけど)
わかったっつの。
もうなにも考えねーよ。
無心になりゃいいんだろ。
(君みたいに煩い人間が無心になれるわけないでしょ)
(…セクハラ受けてる気分なんだけど)
(そう、そんなに僕に触られたいの、君)
「せんせえぇーー!変態がいます!緊急避難させて下さい!」
「ちょっとミチコったら静かにしてよー。先生集中しなきゃならないから」
決死の覚悟で叫んだ私の思いは、奥田の一言に残酷にも叩き落とされた。
ホールに残る数人の生徒が私を振り向いたが、当の本人、雲雀は我関せずを決め込んでいる。