AEVE ENDING
(少しは周りに気を遣ったら?)
(…オマエヲコロシタイ)
(君には無理だよ)
わかってるっつの。
わかってる、わかってるから黙れよ、このクソ野郎。
(……なんでこんな普通に会話してるんだろ、私)
いやだ、自己嫌悪。
(…あーあ、アミは今頃なにしてんだろうなあ)
みるみるうちに減っていく生徒達を眺めながら、なにもかもどうでもいいような気分になってきた。
名前は呼ばれないわ、「修羅」には思考が筒抜けだわ、やっぱり名前は呼ばれないわ……。
「―――ミチコ、おいで」
いい加減この状況に飽きてきた頃、やっと奥田に呼ばれた。
しかし、今まで繰り返されてきた采配とは少々様子が違う。
今までの采配方法なら、ペアの二人が名前を呼ばれて前に出る筈なのに、何故か呼ばれたのは、倫子ひとり。
奥田はなにを言うでもなく、ただ倫子が前に出るのを待っている。
「早く前に出なさい、ミス橘」
思わず尻込みした倫子を後押しするように、ミスレイダーが厳しく言い放つ。
「…へーい」
「そこの生徒!シャキッとしなさい!」
やる気なく返事を返すと、知らない教師にまで怒られた。ついてない。
(勘弁しろよ…)
自然と溜め息が出るが、呼びかけを無視して前に出ないわけにはいかない。
異例の事態。
ホールに残る生徒達全員の好奇や侮蔑が入り交じった視線を集めながら、奥田が立つ壇上へと向かう。
東部の先頭とのすれ違いざま、雲雀に一瞥…もとい一睨みをくれたが、彼は視線を寄越すことなくただ前を見据えていた。
その横顔が、また。
(…は、キレーなお顔だ、こりゃ)
間近で見れば見るほど、怖いほどに玲瓏。
神様の作業にミスがない。
髪の毛一本、睫毛の先にまで神経を集中させて造り込んだような、端正な、生き物。
(…いや、敵を褒めてどうする)
一瞬でも雲雀に見蕩れてしまった自分を叱責しながら、足早に奥田の前へと歩み寄った。
しんと静まるホール内で、無言の視線ばかりが痛い。
「…来ました」
他の教師方の手前、奥田にも悪態はつけない。
奥田はやはりやる気なく白衣を纏い、気怠そうに倫子を見ていた。
「…手を」
(なんで呼ばれたか、わかる?)
やはりやる気のない声と手を差し出しながら、肉声とは別にテレパスでそんなことを尋ねられた。