AEVE ENDING
「…おかしいな。橘倫子は、修羅を憎んでいる筈なのに」
(お前の、言うとおりだ)
おかしい。
歯車がうまく噛み合わずに、空回っている。
「まぁ、そんなことはどうでもいい…。俺達に必要なのは雲雀じゃない。修羅の力だ」
底冷えするのは、実際に雲雀と接触しているにも関わらず、それでも従わせようと画策するその精神だ。
(───なにか、私達が予想もしないような策があるのか、)
「…雲雀は、あんた達に飼い慣らされるほど甘くない」
言い放てば、くつりと歪む。
そこに含まれるなにかに、「私」は気付いているのか。
「───雲雀なら、そうだろうな」
伸びてくる腕。
捕らえようとする。
後退れば、無様に瓦礫の塊に踵をぶつけた。
「…、」
そのままバランスを取り損ね、崩れかけの壁に背を預ける形になる。
その隙を見逃さず、すかさず伸びてきた手に首を絞め上げられれば、気道の隙間が狭み、ぐつ、と喉と鼻が鳴いた。
無様な倫子が可笑しいのか、鍾鬼は意地悪くほくそ笑んでいる。
「言っただろう?」
───俺達が求めるのは、雲雀ではなく、修羅だと。
ガラン。
首を絞められ、腰に回された腕で抱きしめるように持ち上げられた。
爪先が浮いた拍子に蹴り上げた瓦礫が音を立てて転がる音を、酸素が足りず遠退きそうになる意識を繋ぎ止めてそれを耳にする。
胴に巻き付いた腕に力が込められ、浮いた足先から更に地面が遠くなった。