AEVE ENDING
「、っ」
ぐ、と肩に垂れ下がる倫子を引きずり落とされた。
全身弛緩した体がぶらりと床に落ちる寸前で、まるで小さなこどものように抱きかかえられる。
視界全面に、鍾鬼の白磁のような肌が入り込んできて、くたりと首が寄り、鍾鬼に寄り添う形になっていることがわかる。
背後に立つ雲雀の纏う空気が、少しだけひきつった。
気に入らない、とあからさまにこちらを睨みつけている雲雀に、鍾鬼は愉しげにほくそ笑む。
「…お前が望まなくとも、手離すことになる」
囁く唇が、倫子に寄る。
「っ、」
触れる瞬間、大きく開かれた口が静脈を覆い、鍾鬼はそこに容赦なく歯を立てた。
血肉を裂くように───それこそ、骨肉を喰らうように。
「…ぃっ、ひ!」
ぶつりと肩が引きつり、皮膚と肉が裂かれる感触。
首筋に触れる長い黒髪が肌を擽るが、そんなもの、感じる間もない。
「、ぁ、がっ」
ぶつりと音を立てて、肉を噛み契られた。
全身に走る神経が高熱の痛みを感じて震える。
「う、…っ!」
あまりの痛みに喉がひくつく。
痙攣する体をよそに、噛み契った倫子の肉片を鍾鬼は床に吐き捨てた。
べちゃりと嫌な音を立てて、先程まで肉体を形作っていたものが塊となって転がる。
霞む視界に、鍾鬼の血に塗れた口が見えた。
真っ白な歯の隙間に紅い血が滲み、あまりにも不気味だ。
歯の隙間に、白い糸が数本挟まって垂れている。
「施術の糸、か…。肉の隙間という隙間に張り巡らせて、化け物を人間に戻した」
倫子の鼓膜に流し込むように、その血を、纏う唇が。
「───これを全て引き抜けば、お前はまた、」
ば け も の に ぎゃ く も ど り 、だ。
(……、私の罪は)
(この血は、あまりにも)
全て蝕む痛みは、そうだ、私の罪から、起因するもの。