AEVE ENDING






そんな貧しい生活のなかでも学校はちゃんとあって、「総合学校」という名の、六歳から十八歳までが通える制度には、ありがたいことに倫子達最下層も組み込まれていた。

国がボランティアで始めた無償教育では、通う年数は決まっていない。

ただ、学ぶのは文字の読み書きや歴史、簡単な計算などばかりで、あまり長居するこどもは多くなかった。

ただやはり、歳が近いこども達が交流するにはその総合学校に集まるのが一番だということもあり、ある程度知識を納めた子供達が、勉強をしに学校に行くのではなく、遊びに通うこともしばしばあったりする。

倫子とアミはご近所同士の幼なじみで、学校でも一番の友人だった。


『アミ、やばいよあの教師。うちらを退学にする気だ。どうしよう、殴る?』
『だめよ、倫子。あのハゲの弱点をつつくしかないわ』
『よっしゃハゲ。語尾にハゲを付けて話すのどうよハゲ』
『いやよハゲ。こっちまでハゲげそうじゃないハゲ』
『…やっぱ脅すっきゃなくね?』

あまりいい生徒だとは言い難かったが、毎日毎日、それはもう楽しくやっていたのは確かだ。
馬鹿なことしかやっていなかったわりに成績もそんなに悪いほうではなかったから、なんとなく巧くできてんじゃないのうちら、と鼻高々に肩で風を切って歩いていた。





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