AEVE ENDING
「…あれはなんだ」
「原始人」
完全に戦意を削がれ、休戦よろしく雲雀に問えば、雲雀も雲雀でさらりと応える。
張りつめていた筈の空気が、一気に爛れたものへと変わった。
「オイコラ誰が原始人だ、雲雀チャンよぉ。お姫様救出すっためにわざわざ島から飛んできたんだべ。産まれたばっかのかわいい息子を置いてよぉ、おうおうコラ」
この時点でただのチンピラである。
助ける気より、好奇心のほうが大きかったに決まっている。
「…産まれたの。良かったね」
「…あ、うん、ありがとう。マジ可愛いよ、やべーべ。俺、我が子があんな可愛いもんだとは思わんかった。顔はサルなのに!」
「父親が猿だからでしょ」
「オマ!なりたてのパパンにそんな毒舌はないっぺ!」
「父親になったっていうならちょっとは落ち着いて」
一通り再会のコミュニケーションをとったところで、雲雀は深く息を吐いた。
そして。
「うぉっ!」
真醍を殴りつけた。
渾身の限り殴られて、猿、いや、真醍は顔面から壁に衝突する。
突然の仲間割れに、鐘鬼は目を丸くした。
真醍が起き上がらないうちに、薄いレースカーテンを引きちぎると雲雀は倫子のもとへと向かう。
なにも纏わないまま肌を曝す倫子の体に、カーテンを器用に巻き付けていく雲雀を見て、鐘鬼は思わず吹き出した。
「……律義だな。女の体を他人には見せたくないのか?」
「え?女の体ってなに!?」
起き上がった真醍が赤くなった鼻を押さえながら鐘鬼の言葉に反応する。
そんな馬鹿をよそに、倫子の体を完璧に隠してしまうと、雲雀は溜め息を吐きながら立ち上がった。
「言ったでしょ。橘を暴くのは、僕だけでいい」
冷ややかに吐き出された言葉にやはり笑みを漏らす鐘鬼と、何故か頬を赤らめる真醍。
「雲雀…、会わない内に色気が増したな」
「……死ねば」
「お前になら殺されたっていい」
「気持ち悪い」
雲雀の毒舌に気を取られつつも、真醍はその足元に転がる物体にふと目をやった。