AEVE ENDING
逆上せてぼんやりする頭を叱咤しつつ、そろそろ本気で風呂から出たいと雲雀を睨みつければ。
「…上がればいいじゃない」
いやいやいや。
「なに言ってんだ、お前。その前にお前が出てけよ!ゴートゥーホーム!」
「…馬鹿?」
「きぃぃいい!」
腹立ち紛れに、浴槽の水を思いきり放水してやろうと腕を振り上げて―――がしり。
その振り上げた腕を二の腕から掴み取られた。
「、っ…」
その腕の強さに、心臓が跳ね上がる。
「早く上がったら。逆上せてるくせに」
そのまま持った片腕で回転させられて、雲雀に背中を向ける形になったかと思えば、臍下に腕を通された。
―――ちょ、ま、て。
「ぎぁ!」
「煩い」
無駄な動きのないその一連の動作の行き着いた先に、安定した浮遊感。
臍下に通された腕と臀部を支える腕に支えられ、私はまんまと雲雀に抱き抱えられる形で浴槽から脱した。勿論、強制的に。
「待て待て待て待て待て!変態、待てよ!」
「暴れないでよ。見える」
「なに嫌そうな顔してんだ!もう見てんだろうが!」
「見たくないよ、失礼だな」
「どっちが!?」
「だから暴れないでってば。投げるよ」
「どこにだよ!」
濡れそぼった素っ裸をひとり抱えながら、さも嫌だと言わんばかりに眉を寄せるその小憎たらしさったら、ない。
有り得ない。
これではまるでドナドナだが、雲雀がドナドナを歌うくらい有り得ない。
「うー…」
「唸らないでよ」
「きもちわるい…」
「逆上せてるくせに叫ぶから」
「誰のせいだよ…」
「君でしょ」
気力は既にゼロだ。
雲雀は洗面所に投げてあったバスタオルを拾い上げ、抱いたままの倫子の身体に器用に巻き付けながら寝室へと向かう。