AEVE ENDING
「テメェエエ!飛び道具禁止っつったろうがよ!なにが了承した、だ!嘘つき!嘘つきは指切って落とし前つけろやぁ!」
「了承したとは言ったが、やらぬとは言ってない。大体、貴様、自分は刃物を振り回しておいて俺にはナイフを禁ずるとは何事だ。卑怯な猿めが」
長く大きな刃物―――日本刀だ、わあ珍しい―――を構えてがなる金髪の上背の高い男と、それと対峙する中国の民族衣装を纏う黒髪の美しい痩身の男。
「…っんの、鐘鬼ぃいい!ぶっ潰す!」
金色の猿と呼ばれた男が、更に声を張り上げて叫んだ。
こ、こわい…!
「上等だ。二度と立ち上がれないよう、両脚を潰してやる」
淡々と挑発する黒髪の男。
こ、こっちもこわい…。
もう限界である。
キィンと耳鳴りのような音と共に再び喧嘩が始まった。
それは目にも止まらぬ速さで、そして華麗で、豪快で、大迷惑だった。
(でも、こわい…)
そして問題に気付く。
こちらの方向に行けば案内人と合流できると真鶸の直感力が言っているのだが、彼らの凄まじい喧嘩で道は塞がれている。
―――つまり、通れない。
「…っ、」
真鶸はついに泣き出した。
兄に確実に掛けてしまうであろう迷惑を考えると、なんだかどうしようもなくなってしまった。
(…あぁ、ただでさえ役立たずで足手まといになりかねないのに)
こんな、再会する前から迷惑を掛けてしまうなんて―――嫌われてしまったらどうしよう。
その時だった。
「…あんれ?」
柱に隠れ、真鶸がひくりひくりとえづいていると、俯いていた後頭部に声が掛けられた。
先の回廊で喧嘩してる男二人の声ではない。
女の人の声―――。
ひょい。
「…きゃあ!」
いきなり視界が動く。
思わず悲鳴を上げて顔を上げれば、真鶸は見知らぬ女性に抱き上げられていた。
「きゃあ?…あぁ、びっくりさせた?ッヒブシ!…ごめんね」
女はざんばらに切った短い髪と、強烈なまでに眼光が強いのが印象の、発辣とした人物だった。
抱き上げられているせいで、視線が同じ高さだ。