AEVE ENDING





精神系がかなり発達している奥田は、真鶸の持病や体調もすらすらと言い当てた。
そしてなにより、真鶸の身体の中で最も壊れやすい心臓の発育具合も教えてくれた。

「…ん、心臓部だけが産まれつきの発育障害だね。あぁでも、身体がアダム化してだいぶ頑丈になってきてるみたいだから心配ナッスィング。これからちと成長痛に悩まされるだろうけど大丈夫ヨー。君のお兄さんも倫子も、俺も体験したことだから怖くないヨー」

なんとも形容しがたい口調だったが、今まで限られた人としか接することを許されなかった真鶸にはそれが新鮮だった。

奥田の話に聞き入っていると、倫子の部屋からアミが静かに出てきた。


「倫子は?」
「寝てる。起きそうもないわ」

指通りの良さそうな長い髪をわしわしと乱しながら、アミはもどかしさを紛らわすように吐き出す。

奥田の手が伸びて、アミの肩をそっと撫でた。

その手を受けながら、アミは唇を噛む。


「…あの子、なんであんなふうになっちゃったの」

独白に近い。
どこか苛立ちを含むそれに、つい身がすくんだ。

(…人の怒りや憎悪には、慣れない)



「あんな風に弱っちゃった倫子、初めて見た」

それはなにもできない自分へ対する自責の念なのか。

親友故の、悔しさなのか。


「お前がついててやれば、平気だよ」

赤くなったアミの目尻に、奥田が浅く柔らかに口付ける。

(…きゃあ!)



「…ちょっと、教育に悪いから出て行ってくれる?」

ラブシーンを前に真っ赤になってしまった真鶸の代わりに、雲雀が不愉快げにふたりを追い出した。





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