AEVE ENDING






再び静かになった部屋で、真鶸は倫子の部屋へと視線を向ける。

(話を聞いている限り、倫子さんはただの風邪じゃないみたい…)

心配になってきた。

大丈夫だろうか。




「真鶸。食事に行くよ」

そわそわと落ち着かない真鶸を見兼ねたらしい雲雀が言う。


「でも…」

倫子さんは?

「橘なら心配いらない。橘のパートナーは僕だよ。君は、自分のことだけ考えていればいい」

そう説き伏せられては仕方ない。




「…兄様」

決意を胸に掲げ、そうだ自分には、やらなくてはならないことがある。


「…僕、自分の為に、一人前のアダムになります」

なにより、自分自身を確固たるものにしなくては先へは進めないだろう。



「…うん、待ってる」



―――あぁ、その言葉だけで、僕はどんな困難も乗り越えられる気がするんです。


(いつかは絶望したこの空に、僕は希望を見い出せるだろうか)



神に祈りはしない。

もうそこからは、抜け出したから。


―――この先は、祈る前に、悪態でも。







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