AEVE ENDING
「倫子さんっ」
真っ暗な視界に飛び込んだのは、小さな小さな真鶸だった。
こちらを心配そうに覗き込む顔に、何故か胸が熱くなって泣きそうになる。
「大丈夫ですか?怪我はないですか?」
(…暴力を振るう、私みたいな人間をなにより先に心配してくれるのか)
あぁ、でも、駄目。
汚れてしまうから。
「まひわ…」
そろそろと頬に伸びてくる手を避けて体を引いた。
今にも墜ちそうな意識と涙を堪えて、口角を緩める。
精一杯笑ってみせた私に、このキレイな生き物はなにを思うだろう。
「…倫子、さ」
手を、伸ばさないで。
代わりに、私から伸ばすから。
「だいじょうぶ」
少しだけ誤魔化すように撫でた黒髪は、私を否定することなく柔らかく揺れて抑えられ、受け入れてくれた。
なにも聞かないでくれと懇願したわけじゃない。
けれど、真鶸は優しく微笑んで、口を噤んでくれた。
(―――この歳でそんな笑い方…)
君にもなにかあるのだろうか。