AEVE ENDING







「…イヴ?」

オムライスをつつく真鶸が、驚いたように倫子を見た。
先程の食堂の件は落着したわけだが、真鶸の中では納得がいかないらしい。


「アダムのなり損ないをそう言うんだよ。アダムの反語で。なかなか面白いよね」

倫子は他人事のように猫まんまをかきこみながら言う。
雲雀は優雅にサラダを口にしながら、なにも語らない。


―――ガリ。




「…っ、」

柔らかなご飯の間に混じっていた硬い物質を吐き出す。

舌を切った。



「きゃあっ」

カチャリ、吐き出したそれは、折れたフォークの先っぽだった。

まぁ、珍しくもない。
食堂の給仕係が、イヴ苛めに拍車を駆けただけのことだ。


「…てな感じで、虐めの対象になってる。面白いっしょ」

真鶸にはちと刺激が強すぎたかもしれない。
ただでさえ白い顔が蒼白になっていた。


「ごめん、真鶸。きちゃないね」

謝るが、真鶸は口をパクパクしたまま動かない。
ピリリと痛む舌を無意識に出すと。


「切ったの」

雲雀が一言。
ん、と頷く倫子に。



「…っ面白くなんかないです!」

ガターン!
涙目で立ち上がった真鶸に、驚いた。


「こ、こんなの…、酷い…!」

泣いてくれるのか、可愛い弟よ。

「まぁ、これはまだ良い方なんじゃない?」

雲雀が顎を掴んできたので、倫子が切れた舌を見せれば。


「見せるな」

ムッとされた。

ムッとしたいのはこっちだバカ!






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