AEVE ENDING
「まあ何より不快なのは、この写真の出所だがね」
胸が焼けるような思慮に落ちていた意識がその言葉に浮上する。
「―――どこ?」
ぐしゃり。
彼女の忌まわしい過去を握り潰したところで、なにが変わるわけでもないが。
男は渋るように口を閉ざした。
とはいっても、彼にそのような殊勝さはないため、口に出すことすら嫌悪することなのだろう。
ふつりと沸き上がる不愉快な怒りは、薄ぺらい写真に向けても仕方ないのだ。
静かな空間すら、厭わしい。
今にも橘の悲鳴が聞こえてきそうで、心臓が焼ける思いがした。
男が口を開く気配が、暗闇を伝い、じわり、滲む。
「―――君が殺した政治家と、君のお父上からだ」
嫌悪するは己の性か業か血か。
「君の父親も彼も同じ穴の貉、というものだろう。目の前で繰り広げられる狂宴に魅せられ、ついにはその主役を欲してしまった」
それは。
『―――あんたは私を愛玩にしたかったんだろう』
穢らわしい眼に曝されながら、なにを思った?
「―――…、」
本当は、己が触れること自体が罪なのではないかと、絶望が。
『…触るな!』
耳に残る、それは初めて彼女に触れた時。
おどろおどろしい嫌悪を、垂れ流しにして。
(僕に、重ねてた…)
自らを穢すオトコの存在を。
「これらは全て、彼らが戯れに撮ったもの……いや、語弊があるな。こんな悪趣味な真似をしたのはタヌキだけで、君の父親は余計な気を回した彼から押し付けられていたらしい―――オクダの証言だよ」
しかしそれは、政治家のあの男よりずっと質が悪いように聞こえた。
静かに、狂っていったのだ。
あの男は、自らの息子を模す憐れな娘に、溺れて。
『そんな眼で、私をずっと見てた』
『…あんたは意義を見い出したんだ。私の体も、心も喰い潰すことに』
ガラス越し、醜くのたうちまわる少女に、確かに感じたのは同情と憐れみだった。
しかしそれが過ぎれば嫌悪が顔を出し、次第に崩れゆく肢体に美を見い出すようになった。
そこに己の手すら、染めたくなる。
オ
ク
ダ、
シ
ナ
セ、
テ。