AEVE ENDING
(…だから、あんなことしてるんだから、今更恥ずかしがる必要もないと思うんだけど)
まあ確かに、あの時は倫子も雲雀もおかしかった。
大体こうも照れられて、待ちくたびれないわけがない。
強行か、と溜め息を吐き掛けてすぐ、吐き出す筈だった呼吸を塞がれた。
なにに、とは野暮な質問。
「ひぃいいいいいっ」
しかし、堪能する前にそれは離れて奇声を発する始末。
羞恥が限界に達したらしい。
逃げるように膝から立ち上がりタイルに踏み出した倫子の足首を逃がすまいと掴む。
「っう、ぉ!」
「少しはマシに鳴けばいいのに」
惜しげもなくタイルとキスしそうになった倫子の体をぶつかる直前でサイコキネシスで浮かせ、そのままこちらへ引き寄せる。
「っ、」
ずるり、微かに湿ったタイルを倫子の足を舐めた。
傷がつかないようにそれを掴んで、腰に回した手でその小さな体を抱えあげた。
最近、集中的に鍛錬を続けたせいか以前より筋肉がつき重くなった体に安堵の息を吐く。
スパルタにし過ぎて涙鼻水を垂らしつつ頑張る姿はなんとも滑稽だったが、どちらにしろ生傷は絶えなかった。
四六時中殴ってしまうせいか―――僕の愛は少し暴力的過ぎるかもしれない―――、その頬はいつだって赤く染まっていた。
たまに預かり知らぬ傷をこさえてくる時もある。
寧ろそういった場合のほうが多い。
だからかやはり、最近は生傷がないほうが違和感がある。
「…よくやったよ」
言えば首を傾げる。
暫くなんのことか解らぬ様子で考えていたが、すぐに思い至ったらしい。
「何点?コーチ」
「まあ、まずまず。五十五点」
「…微妙だな」
「そう?」
不満げな倫子の赤く腫れた瞼を唇で慰めながら、素知らぬ顔をする。
「もうちょっと欲しい」
「キスすれば」
「…は、」
「キス一回につき五点」
「…どこのセクハラコーチだよ」
(当たり前でしょ。普段どれだけ我慢してると思ってるの)
もぞり。
照れたように身じろぐ体を抱き上げ浴室から出ると、ベッドへと放り投げた。