AEVE ENDING
「―――橘、なにをしているのです!早くお逃げなさい!」
朝比奈が叫びながらこちらに駆けてくる。
武藤とペアを組んでから、なかなかどうして立派な「会長」になっているらしい。
「…武藤、そいつ捕まえてて」
倫子が言う前に、既に武藤は朝比奈の手を掴み引き寄せていた。
武藤の腕の中で、朝比奈が慌てたようにもがく。
「怪我すんぞ、雛」
そうだよ、朝比奈。
あんたは引っ込んでたほうがいい。
ここは、危ない。
「―――朝比奈、君は下に降りて、他のアダム達の避難に尽力して」
尚も暴れようとする朝比奈に、雲雀が事務的に告げた。
これで大人しく引き下がるだろうと思えば。
「いいえ!橘倫子に幾田の相手をさせるのは危険過ぎます!この場はわたくしが食い止めますから、雲雀様はアナセスと橘を連れて逃げてください!」
などと口応えした。
あの雲雀に、である。
これには武藤も倫子も面食らってしまった。
ただ雲雀に従うしか知らなかった昔の彼女の影など、とうにない。
「…だからって君が残っても仕方ないでしょ。早く―――」
キィン…。
呆れたように促した雲雀の足元に、小さなナイフが突き立てられた。
雲雀の視線がゆっくりと、元凶へと流れる。
「君もできれば去って欲しいものだ。私の目的は、バケモノただひとりだからね」
そう言って桐生がゆっくりと口角を釣り上げ―――同時、静かだった双子が再びこちらに腕を振り上げてくる。