AEVE ENDING
『橘…、君はわかっていないようだね』
眼を潰してしまいたくなるほどの狂劇を、静かに見物していた男が、呆れたように息を吐いた。
その、まだ不服だと言わんばかりの声に、ぞっとする。
『…っ、』
―――それに呼応するように、小さな獣がびくりと跳ね上がった。
それに驚き、少女をただ抱き締めていた倫子が、絶望に満ちた顔を上げる。
唇にべっとりと倫子の血をこびりつけながら、少女は、その暖かな腕の中で、ヒトでも獣でもない声で、哭いた。
『―――っ、』
びくり。
血だらけの倫子の体が、震える。
『君はこの子の末路を知っているだろう?』
獣の、最期は。
『っ…!』
突然、痙攣していた少女が床にのたうちまわり始めた。
唾液を、体液を、穴という穴からそこら中に巻き散らしながら、息も絶え絶え、苦しみに耐えている。
小さな腹はまるでなかで蛇が蠢いているかのように波打ち、背中にはボコボコと巨大な疣が沸き上がる―――ヒトが成り果てる姿とは、到底、思えない。
『ほら早く…、殺してやらなければ』
悪魔の声が、倫子の背中を残虐に押す。
『…君の可愛い妹が、苦しんでいるよ』
知っているだろう、その痛みを。
筋肉が収縮し、腸が皮膚を喰い破り、外見がすべて内側へとひっくり返り胎内にめり込んでしまう恐怖と痛みを、君は。
『憐れな妹をこれ以上、醜い姿にはできまい…?』
ピンク色の、粘膜に覆われた生きた内臓のような、それは。