執事の名のもとに
「…久しぶりに見る親父は俺が知ってる親父よりはるかに小さく見えた。」
敦は悔しそうに拳を握り締めていた。
「馬鹿だよな、親父がこんなになるまで家に帰らなくて。意地ばっか張って。」
そこで初めて敦の目から一筋涙が零れた。
「…でも俺は執事としての仕事にも誇りに思ってる。だからそんなすぐに今の学校を止めて、会社を手伝うなんてできない。」
きっと最近の敦がおかしかったのはこれに悩んでたんだろう。
ひとりで悩んでいた敦に腹が立ったが、逆に自分が情けなくも感じた。