銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
死神……協会

此の人は何をふざけた事を抜かしているんだ?

『貴方は一体誰なんだ?

さっさと私の目前から消え失せてくれ。』

『ダメダメ。』

ひょっこりと霊螺はキャルナスの横に座る。

仕舞にはキャルナスの手をぎゅっと握った。

握手のつもりなんだろう。

霊螺の手は温かかった。

人と会話したのも、触ったのも何年ぶりか?

『私の前から消えるのが無理だったら、私を……私を殺してくれ……

嫌なんだ、死にたくても私の手がいうことを聞かない……

他の悪魔に最初は頼もうと思った……

だけど私が大悪魔だから、殺せないと言う。

……誰も殺してくれないんだ。

私は消えたいのに……』

泣いた、涙が止まらなかった。

自分より若い女性の前で泣くなんて、情けない事何だろう。

でも彼女は笑わなかった。

『よしよし、キャルナスは辛いよね。

そんな、大悪魔がやり直せるのが死神協会!

悪魔を自ら死ねるし、殺してもらえるから死神協会は薦めないけど、
大悪魔は自分でも同族でも死ねない不死の呪縛。

だから死神協会は人生をやり直したい大悪魔に死神という職業をお薦めします!

死神になると不老不死!

此の世界の為に働いてもらいます!

色んな世界を廻って、死者の調整等をしてもらいます!

まぁ要するに貴方には自由が与えられるってわけ!』

死神……そんな職業があったのか……?

だが納得する。

突然いなくなる大悪魔を彼は何度も見てきたから。

そういう事だったわけか……

『どう? うちに来ない? キャルナス・エルヴァータ?』

『なっ……!』

キャルナスは霊螺から一歩遠ざかる。

何故自分が王家の血筋だという事まで知っているのだろう?

海峡の軍勢に拘束される時に、とっくに縁を切られたと聞いた。

其れから、キャルナスの存在は王家の最高機密にされて来た。

なのに、此の人は知っている……

『貴女は一体何者なんですか……?』
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