銀鏡神話‐翡翠の羽根‐
霊螺は誇らしげに胸を叩くと、無理矢理どすの利いた声を出して言った。

『私は霊螺、アヤセ・レイラ。

只のアヤセ一族の当主ですよ。』

アヤセ一族だと?

『貴女は彼のアヤセ一族の者なんですか!?』

昔、魔界を束ねていた、三大神にも匹敵する妖の一族、アヤセ一族。

シェルダン家同様、もう落ちぶれて今では極少数しか生き残りがいない。

其の末裔がまだいたと言うだけでも愕くが、此の可愛らしい娘がアヤセ一族を代表する当主だと言うのだから、驚愕するしかなかった。

『うん、アヤセ一族は滅亡したと言われてるけど、実際は暗躍してる。

死神協会としてね。

で、死神協会と魔界の王家は日頃仲良くさせて貰ってるから、
キャルナスの事も機密だけど教えて貰えたんだ。』

そうか、エルヴァータ家が……。

此の娘は何だって知っている。

王家と深い繋がりが有るんだ。

魔界の事だったら何だって知ってるに違い無い。

訊こう、悪界に閉じ込められてからの十数年、気にかけない日は無かった。

『私の父と、母は、どうしていますか……?』

レイセント・エルヴァータ、サリア・エルヴァータ。

二人はどうしているのだろう。

『……キャルナス、ショックは受けないでね。』

元々、期待はしていなかった。

どんな哀しい結果でも、受け入れ様と思っていたんだ。

『サリアは、貴方の母さんは精神科に入院した。

今も入院しているんじゃないかしら。』

彼の逞しい母が、精神病……

マナが死んだからだ、自分がマナを殺したから、マナの未来を、時間を壊したからだ。

『レイセントはサリアの世話ばかりの毎日を送っていた。

でもね、亡くなった。

海峡の軍勢を破滅させた貴方の責任をとって、兄の命により処刑された。』

嘘だ……

嘘だ!

『私のせいで、父が……あ、あああああ……』

何故、私は生まれてきたんだろう。

人を不幸にする事しか出来ない。

神よ、私は苦しむ為に生まれてきたんですか?

答えて下さい。

お願いだから。
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