ダーク&ノイズ
「あたしが死ねば良いと思ってんでしょ。ハ、良かったね。もうすぐ死にますからご心配なく!」

そういい捨てると、琢己の手を振り払って出口へと駆けて行った。

「おい、待てって」

慌てて後を追う琢己もその場から姿を消した。



再び静けさを取り戻した店内の隅。恭一もおさめきれない怒りを吐き出すように

「死んで当然だ。あんな女」

と、吐き捨てた。

佐々木は動揺などひとつも見せずにコーヒーを飲んでいたが、その言葉を聞くと、たしなめるように言った。

「そんなことを言えば、恭一も彼女と同じ人種ということだ」

「そんなわけ──」

否定しようとしたその言葉は、佐々木の冷たい視線に打ち消された。

「──そうかも、知れないですね」

「そうだ。言葉には力がある。そのひとに『死ね』と言えば、それは死へと追いやる手助けを、必ずする」

その力を最大限に活かした魔術が『呪法』と呼ばれる。


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