不機嫌マーマレード
「とにかくあの人は僕とは合わないと思うだけ。」


そういい残すと走って登校してしまった。


一樹はきっと私と圭吾が結婚すると思っているのだろう。圭吾ほどスマートな男はいないと思う。私だって圭吾とそうなれたらいいと思う。


会社の役員でそこそこ収入のある男。素敵な家に住んでいる男。容姿も申し分ない。子供のいる年上の私を選んでくれた。条件は揃っている。だから付き合っている。


そんな圭吾と今晩会える。


私は嬉しくてさっきの一樹の言葉を頭から掻き消した。
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