不機嫌マーマレード
「この間は和食でしょ。その前がフレンチで・・・中華も行ったし・・・。そろそろイタリアンかな?と。」


ああ、予想はついていたのね。バレバレじゃん。


「と思って、実はお店予約しておいた。」


え?嘘?圭吾は私なんかよりずっと気の利く男性だけど、最近の彼にしてはちょっと珍しい。何かいいことでもあったのかな?


彼に促されるように大通りから一歩細い路地に入り、アンティークな木の扉をくぐった。


とても静かで落ち着きのある店内は、恋人同士で入るには素敵過ぎる造り。


どちらかと言うとフレンチが出てきそうな感じ。


席に案内されて座ると、真正面で彼が微笑む。
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