クリ-ミ-ココア
「比奈はひたすら逃げてればいいからね!
大丈夫!ウチの女子体育会系多いから」



セリに言われる。



…言われなくったって

もちろんそのつもり。


ボールキャッチなんて出来ない。


顔に当たった時だって痛すぎて泣いちゃったし


当たった所はジンジンするし


あいつにバカにされるし散々だったんだから。



「ピーーッッ!!」



先生の試合の合図でボールが宙に舞った。



私はボールだけ目を追ってコート内をひたすら逃げ回る。



「青田比奈ちゃんがんばってー」



どこからかイズミ君のそんな声が聞こえて来たけど


今の私にはボールに集中して逃げなければいけないという義務がある。



ひたすら逃げて!逃げて!時には避けて


とにかく逃げ回った。
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