アリスの作り方
クロノスさんはこんな風に言えてしまうから不思議だ。
花に向けていた視線はもうこちらに来ていて、そう微笑みながら言うその台詞にドキドキしてしまった。

「そしたら、僕は王子様じゃなくて、お姫様になるのかな?」
「お姫様……」

うーんっと考えながら、話を続けるクロノスさん。

それよりもクロノスさんのようなお姫様。
その端正な顔立ちがもしお姫様だったら……。


「かなわない」


容姿、ちょっと抜けている性格に、それこそ全てお姫様のようだ。
私なんかがかなう相手ではない。


「かなわない?何が?」


不思議そうな表情で私を見つめるクロノスさん。


「もし、クロノスさんがお姫様だったらかなわない」
「何で?ルイ以上に素敵な女性はいないよ、けど……」


嫌みなど全く感じない、ストレートなクロノスさんの言葉はとても純粋で聞いているこっとが恥ずかしくなってしまう。
そんな甘ったるい台詞をさらっと話ていると、クロノスさんの表情が少し曇った。


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