アリスの作り方
ビンの破片や飛び散った液体が元に戻ろうと一箇所に集まっていった。
まるで逆再生の映像を見ているみたいのそれは、最終的に何もなかったように元の状態へと戻りテーブルの上へとひとりでに戻り……
私が一番初め見たときと全く同じ状態になった。
「……。」
「元に戻ったんですよ。次に飲んでくれる"誰か"の為に……」
切なそうな呟きのように聞こえるティックの言葉。
「誰か……」
ティックの様子からこれがとても悲しい事なんて聞かなくてもわかる。
これ以上詮索してはいけない……私は直感でそう感じた。
「さて……、小さくなった事だし先へ進もう。」
自分の中で作れる精一杯の笑顔で言い、ティックを引っ張り扉へと向かった。
「そうですね」
作ったような微笑でいまだに切なそうな口調でつぶやいた。