星屑
「あたし彼氏いるし、あんたら4人で遊べば?」


こんな時だけ“彼氏”を使いやがって。


小さく睨むあたしと、そうだねー、なんて喜ぶ沙雪。



「俺パス。」


勇介が言うので、じゃああたしも、と言葉を乗せた。



「ならもう、さゆと大地で遊べば?」


樹里が便乗したようにケラケラと笑い始め、大地くんは困ったように笑っている。


別にこのふたりはお似合いだと思うし、向こうも嫌そうな顔ではないようだし、ならば沙雪にも脈はあるということだろう。


すっかり傾いた陽が窓から射し、購買にはもう、おばちゃんの姿すらない。



「樹里さん美人だから余計に怖いっすね。」


大地くんの苦笑いに、彼女はべーっと舌を出した。


このふたりはいつの間にか姉と弟のような関係が出来あがってて、それはそれで良いと思うあたしは、やっぱり薄情なのかもしれないが。



「奈々ちゃんあんま喋んないね。
もしかして人見知りとか?」


初めて大地くんから話を振られた。


が、アンタが苦手だから、とはさすがに言えなくて、「そんな感じ。」とあたしは言う。


勇介はこちらを一瞥したが、やっぱり何も言わなかった。



「奈々は単に、人が多ければ多いほど喋んなくなるからね。」


樹里はすでに、保護者を通り越しておばちゃんみたいな口調だ。


肩をすくめるあたしに対し、勇介だけがふっと笑う。



「なぁ、そろそろ帰ろうよ。」

< 104 / 418 >

この作品をシェア

pagetop