星屑
言い出したのは勇介だった。


すぐにあたし達はそれぞれに別れ、校門でさよならをする。


駅の方に向かって歩くあたし達とは逆に、勇介たちは反対方向に歩を進めた。



「…大地、ねぇ。」


樹里は腕を組む。


まだニヤけ顔の沙雪と、ぶっちゃけ疲れたあたし。



「良かったじゃん、沙雪。」


「うん、もう超どきどきした!」


そう言って、彼女はあたしの体をぺしぺしと叩き、興奮冷めやらないと言った様子だ。


樹里は保護者目線のまま、もう少し髪は暗めの方が、とか、びしっと喋れないのか、などと言っている。



「樹里先生は男の採点厳しいからね。」


からかうようにあたしが言うと、彼女はぶすっと不貞腐れて見せた。


沙雪はそこが良いんだよー、などと言い、それぞれが大地くんに対して思うところがあったようだが。


やっぱりコンパ後のような会話だと思った。



「んじゃあ、あたし帰るね。」


そう言って、あたしだけ足を止める。


バス停の前なのでふたりは何も言わず、じゃあまた明日、と言って別れた。


樹里は電車だし、沙雪はこの後寄るところがあるらしい。


沈み切ってしまった陽は、世界に影を落としている。


街は次第に黒く塗り替えられ、あたしはそんな空模様を見つめていた。

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